ぶらぶら旅行記〜広島編〜

2024/06/02

Miscellany

5月に広島に2泊3日の一人旅でした。GWの後だったので、移動もスムーズだったのが幸いでした。

今回は三次市にある、もののけミュージアムという場所を訪れることが目的でした。

※どこどこに行って次はどこに行ったとか書いていますが、当然ながら土地勘もなく、かといって旅慣れしているわけでもないので、ここに書いてある移動方法とかは参考にしないことを強く勧めます。
旅の計画を考えるのが一番わくわくするんですけれどね。

初日は到着した広島市内を観光しました。前に観光したときは、広島城、平和記念公園などを訪れましたが、今回は縮景園にも行きました。幸いなことに天気が非常に良く、庭園を歩くにはとても良い日でした。美術館も併設されているので、常設に立ち寄ったところ思わぬところでダリの絵を観られて驚きでした。行ったときには「光と風」に関する企画展も開催されていて、非常に印象に残る絵が観られました。こういうときの何気ない出会いみたいなものはより一層記憶に残るものですね。


それから歩いて広島城へ。このあたりで友人と写真撮ったっけなぁ、などと思い返しながらも、記憶は案外曖昧なもので。
その後は平和記念公園、資料館へ。事前に券を買っておいた方がいいということを移動中に知って、慌ててネットで予約していたので、入場はスムーズでしたが、それにしても人がたくさん訪れていました。それだけ多くの人が、学び、考える場であり続けてほしいと、なんだかずいぶんと偉そうな書き方ですが、そう願っております。
前回は訪れることができなかった、広島原爆死没車追悼平和祈念館にも行きました。企画展の映像が流れていたので、そちらを鑑賞。特攻訓練を受けていた少年兵たちが、原爆投下後の広島への救護に向かった当時のことを、証言と再現で編成された内容です。来年2月まで開催。次々と語られる当時の様子、「頭から離れない」という言葉。起きたことは過去のことかもしれない、けれど、過去ではない、と漠然と思いながら外に出て歩いていると、パレスチナに連帯するスタンディングをされている方々がいらっしゃいました。きっと、過去じゃないと思ったことの一つなのかもしれない。今の世界中の、あらゆる場所で。原爆ドームの前で、改めてそう考えていました。
(今、多くの場所で多くの人が行動を起こされています)


翌日、主な目的となっていた三次市のもののけミュージアムにバスで移動。高速バスが出ていて、それがミュージアムまで行ってくれる便でした。まだ出来て5年くらいで、新しいようです。少し前に湯本豪一著『日本幻獣図説』(*1 ) を読んでいたら、著者紹介の箇所にこのミュージアムの名前が書いてあったのがきっかけでした。
展示も魅力的で、書籍に紹介されていた資料や図版が実際に展示されていて気分があがります。そもそも、なぜこの三次という場所なのだろうかと不思議だったのですが、稲生物怪録というお話の舞台になっているそうです。
ずいぶんと前にトーハクで妖怪の展示を観に行ったことがあるのですが、妖怪をメインとした博物館っていいですね。妖怪を描いてみよう、というようなコーナーもあって、お子さんも楽しめそうです。
特別展では稲生物怪録の絵本『もののけdiary』(*2) の原画展もやっていました。次々と驚かしてくる妖怪たちに、まったく驚かない少年のお話。なんだかシュールで面白かったです。ミュージアムショップでは膨大なコレクションからテーマ別の図録がいくつかあって、全部買いたいところだったのですが、とりあえずと1冊と稲生物怪録の本だけに……。
怖い話自体はそんなに得意じゃないのですが、妖怪ものというか、そういったものは興味が昔からあって。現代、妖怪という存在を信じている人はそういないものの、数年前はアマビエの絵が流行するなど、まったく遠い存在ではないよなぁと。あと、幽霊は今でも信じられてること、ありますよね。今のほどの科学で説明できなかったから生まれた存在で片付けられない、今も人の文化や生活にどこか繋がりをもっているのが、面白いですよね。
そのうちこういう妖怪が出てくるお話も書きたいなーと、漠然と練っていることもあったので、今回訪れることが出来てよかったです。
博物館だけでなく、駅や建物周辺にも妖怪のお出迎え。


その後また移動してワイナリーや美術館を回ってきました。ワイナリーは主にお土産選び。美術館は時間が思っていたよりあったので立ち寄ったのですが、想像していた以上に広かったです。奥田元宋・小由女美術館というご夫婦の名前を冠した美術館でした。残念ながら移動の関係で夜まではいられなかったのですが、日本一月が綺麗に見られる美術館だそうです。池があったので、その水面に映されるのでしょう。日本画と人形の展示で、日本画は壮大な作品が多く、展示室に入ると圧倒されます。人形は、かわいらしい雰囲気のものもあれば、本当に俗っぽい言い方ですけれども、FFの女神を思わせるような、神秘的な雰囲気もありました。
特別展はロイヤルコペンハーゲンに関する展示でした。特別展は会場がとても広くて、見応えがありました。北欧デザインに関する書籍なども物販に並んでいたのも魅力的でした。建物自体もとても綺麗で、もっとゆっくり観ておくべきだったなと思いました。


3日目。この日は大久野島という島を訪れました。また高速バスで行ける範囲で、帰りの便に間に合うところで、どこかと探していたところ見つけた場所でした。
うさぎの島、毒ガスの島。
毒ガス?
バスで忠海駅前まで行き、そこからフェリーで15分ほど。乗船券を売っている売店にはうさぎのグッズがたくさんで、家族連れの方も多く。
島には、かつて毒ガスの製造工場があったそうです。小さな島で、そんなことが、と愕然とさせられます。今はうさぎの島、休暇村として訪れる人も多く、降りてすこし歩くといたるところにうさぎ、うさぎ。やはり人慣れしているのか、近くを通っても全然逃げ出したりしません。家に犬がおり、あんまり野生動物には触らないようにしているので、自分は遠くからかわいいなーと眺めながら毒ガス資料館へ。
煉瓦造りで、中はそう広くはないのですが、撮影禁止ということもあってひとつひとつを読み込まなければという気持ちになります。もともと要塞化として砲台などが設けられ、その後第二次世界大戦中毒ガス工場を設置。戦争も続いていくなかで、子供たちまでが作業員として駆り出され、その後も後遺症を抱えることになってしまった人々のこと、これらの化学兵器が中国で使用され、多くの人が命を落としたこと。それが今や休暇村として人々を迎えているというのが、なんだか不思議な場所と思わざるを得ません。
家に帰ってから図書館で本を探してみたところ、30年前に刊行された本(*3)に、当時学生として働いていた方の記録や実際に取材に行った内容が記されていました。自分がただ不勉強だったのでしょうし、まだ学ばなければならないことがあまりにも多くあるのだと、今回の旅行を通じて考えたことでした。


おまけ
お好み焼きのお店がたくさんあって、どこに行けばよいものかととても悩みました。広島といえども地域によって特徴があるということを知れたのが興味深かったです。途中寄った三原という場所では、三原焼きといって鳥のモツ(入ったお店ではモツとレバーと表記されていました)が入っていました。どれもとてもおいしかったです。あと、汁なし坦々麺とか、おいしいものだらけでした。


書籍一覧
*1 湯本豪一「日本幻獣図説」講談社,2023
*2 京極夏彦・文 石黒亜矢子・絵「もののけdiary」岩崎書店,2024
*3 早乙女勝元 岡田黎子「毒ガス島(母と子でみる 17)」草の根出版会,1994