刑事ヴァランダーシリーズの3作目。
ヴァランダーシリーズは、最初に読んだのがこの後の「笑う男」。古本屋でたまたま、なんか面白そうだなと手に取ったはいいものの、シリーズだと知らなくて。
笑う男の後に、最初に刊行された「殺人者の顔」、続いて「リガの犬たち」、その後短編集にもなる「ピラミッド」を読んで、ようやくこの巻にたどり着きました。本棚に置いてわかったんですけれど、厚みがすごい。
ヴァランダーシリーズの面白いところの一つって、ヴァランダーが完璧じゃないところなんだろうなって思います。ベテランの刑事なんだろうけれど、いわゆる超天才みたいな感じではなくて、感情的なところもあるし、しかも奥さんと別れたし、父親とはうまくいっていないし。
そういう人間味のあるところもある一方で、事件を追いかけて行くストーリーは面白い。事件の全容が明らかになっていくのも面白いし、ひとつひとつの伏線が緻密。舞台がスウェーデンののどかな町なんだけれども、出てくる事件はスケールが大きい。特に今回読んだ「白い雌ライオン」は地形としてのスケールもだし、時間軸としてのスケールも大きいと感じました。
刑事ものって、そのチームのキャラクターも大事な要素だと思っているんですが、今回も同僚たちの活躍もありました。主に出てくるのは、署長のビュルク、同僚のスウェードベリとマーティンソン、鑑識のニーベリ、それから同僚でもあり友人でもあったリードベリ。特に今回はスウェードベリが大活躍! あと、鑑識のニーベリが個人的にはクールでいいなって思います。
今回は南アフリカが舞台の一つなので、デクラーク大統領やネルソン・マンデラの話とかも出てくるし(というか、デクラーク大統領は登場人物として出てくる)、暗殺をめぐっての陰謀が渦巻いている箇所はスパイミステリーみたいなハラハラ感もあり、厚い内容に。
これで「笑う男」に戻って来た感じもするので、また読み直してみようかなと思う一方、次の巻も読みたくなります。
で、これ実写にしたら絶対面白いだろうなって思って調べてみたら、ドラマ化しているんですね。「刑事ヴァランダー」。専用チャンネルなのかな? 円盤で見られるのであればレンタルでも観てみたいですね。