マグニフィセントセブンにどっぷりハマって、オリジナル版(大元は七人の侍だけれど)も観てみようと思って、荒野の七人も観てみました。いやぁ、こっちも面白かったです。こうしてみると、マグニフィセントセブンでも、オマージュになっているシーンがところどころあって、リメイク版もさらに面白くなりますね。
舞台はメキシコなんですね。小さな村には盗賊たちがやってきて、食べ物を持って行ってしまい、困った村人たちはお金を持って街に向かう。そこで、クリスというガンマンに話を持ちかけるのですね。銃を買う話だったのですが、クリスの提案で銃を扱える人を雇うことに。クリスは腕利きたち6人と共に村に向かい、盗賊と闘うために村人と力を合わせる。話の大筋は同じですが、登場するキャラクターもまた違った魅力がありました。
リーダー格のクリスは、マグ7のサム・チザムのように黒の衣装にクールな印象(いや、正式に書くならば、クリスを元にしたからチザムも黒ずくめのクールなガンマンなんだけれども……観た順序が逆だからややこしくなってしまう……)。でもとても情に厚く、仲間思いなところがあるんだなと思える人でした。次に出会うヴィンは対照的に明るくて、これはまた魅力的でした(スティーブ・マックィーンとても格好いいですね……)。賭け事をしていたり、ムードメーカーだったり冷静なところもあるのは、マグ7のファラデーが受け継いだのかな。
どこからともなく噂を聞きつけてやってきたハリー・ラックもおどけたところもあり、実際はそんなものはないんだけれど、村人にお宝はあるかと言ってみたり。クリスとの会話と彼の優しい嘘は、なんともいえないシーンでした。山師とかの設定は、マグ7のジャック・ホーンおじいちゃんも引き継いでいましたね。
年若いチコもとても重要なキャラクターでした。チコって「坊や」ってことだと思うので、本名が明らかになっていないような……。クリスの後をこっそりついて回って、仲間に入れてと頼むものの、一度断られてしまい、なんだかんだあって同行することになる。結構最初の方からいるのに、仲間にカウントされるのは一番最後。危なっかしいところもあるけれども、ひたむきなところが感じられます。彼は「誇りのために闘う」とか、そういうところを感じられて、マグ7のレッドハーベストとも通ずるものを感じました(彼も戦士の誇りをかけて戦っていました)。
オライリーは、見ていて一番好きになりました。(チャールズ・ブロンソン渋い格好いい……。)多くを語らないけれど、とても優しい。村のお祭りにいた小さな女の子に笛を作って、差し出したり、男の子たちには話し相手になったり。時には叱責したり。マグ7の未公開シーンでは、バスケスがオライリーと同じように、街の子供を叱る場面がありました。自分の親を臆病と言う少年に対し、その親は守るものがあり、そのために立派に戦っている、というような話で、守るものは自分の身だけの孤独なガンマンが言うからこそ意味のある言葉でした。オライリーもメキシコとアイルランドの血が入っているらしく、バスケスはメキシコ人という設定。そういえば、ファラデーはアイルランド人でした。
ブリットも寡黙だけれども腕の立つ人で格好よかったですね。言葉は少ないけれど、一つ一つに重みがある感じ。眠っているのがなんだか多かった感じがします。何よりも一番印象的だったのは、登場シーン、早打ち対決をしているところですね。早打ちでブリットが勝つけれども、相手はそれが気に食わない、だから真剣勝負を持ちかけるものの、ブリットは投げナイフで敵を倒してしまう。……マグ7ではビリーがこんなことをしていましたね!テンションあがりましたね。(ビリーも寡黙ですね)。
そして最後はリー。他の6人とは装いもちょっとおしゃれで上品な賞金稼ぎ。最初、登場人物をざっと見たときに、この人にハマるんだろうなぁと思っていたんですよね。(装いの雰囲気からも、マグ7のグッドナイト・ロビショーと同じようなポジションだと思っていたので。マグ7はどのキャラクターも好きなんですけれど、人間くさい弱さを持ったグッディが好きです)。クールで腕利きなのに、いつか自分がもっと腕の立つ人間に殺される恐怖を持っている。うーん、こういうところに惹かれます。一度7人は村を離れざるを得なくなってしまい、戻るかどうか、という場面があるのですが、そのときに恐怖して離脱してしまうのかと思いきや、戻ると言った彼の意思はすごい、ぐっときました。関係ないかもしれないけれど、お祭りのシーンでリーとブリットだけお祭りには参加せずに静かなところにいたので、もしかしてグッディとビリーもここから……? と勝手に思ったり。
敵である盗賊の頭領、悪い奴といえば悪い奴なんだけれど、なんか優しいというか、情けをかけてくれるところもあって、憎みきれないところがありましたね。腕が立つから仲間になるか?とか持ちかけてきたり、村から出ていく時に銃返してくれたり。
制作秘話みたいな映像も収録されていて、数十年後の俳優さんたちが当時の話をしてくれていたのも興味深かったです。撮影自体にもいろいろと苦労はあったようですが、素晴らしい俳優、スタッフたちによって作られた作品なんだということが伝わりました。もう何十年も前の作品ですけれども、それでも面白い、まさに不朽の名作ということなんでしょうね。
次は「七人の侍」に挑戦してみたいですね。ゴースト・オブ・ツシマの人気も相まって、また見る人が増えるかな。ちょうどレンタルしに行ったらなかったんですよねぇ……。そのときはたまたま見かけた「人生に乾杯!」というハンガリーの映画と、十二人の怒れる男を元にした日本の映画、「十二人の優しい日本人」を観ました。感想書けそうだったらこれもまた後ほど。